医療脱毛とは、具体的にどのようなことを指すのでしょうか?大まかにいえば医療機関で受けられる施術のことを指します。医療脱毛には複数の方法があり、それぞれの特性を知ることで、どのような方法で脱毛を受けるべきかが見えてくると思います。
また、現在のような脱毛の技術が確立するまでの歴史や、医療脱毛において最も重要なポイントである「医療脱毛で本当にムダ毛が生えてこなくなるのだろうか?」という疑問についても解説します。
医療脱毛の定義
厳密にいえば、医療脱毛に関する定義はきちんと定まっていませんが、しばしば「永久脱毛」という言葉と同義的に捉えられることがあります。医療脱毛は、科学的な方法を用い、体毛の毛根や毛乳頭を破壊して体毛が再生しない状態を目指す医療行為のことを指します。体に生えるムダ毛を脱毛施術によって処理した場合の効果を計る定義として今も参考にされているのが、1958年にアメリカで設立された米国電気脱毛協会(AEA)の位置づけです。
同協会によれば、「脱毛が終了して一ヶ月後の時点での毛の再生率が、20%以下である場合」が、いわゆる「永久脱毛」という言葉の意味として定義されているようですが、再生率20%以下ですから、完全に生えてこないというわけではありません。そのくらいの効果であれば、医療行為としての脱毛が成功したとみなせるということでしょう。ただ、時代とともに施術の技術も進歩していくため、定義も変更されるようです。
近年では「脱毛施術後に、身体の各部位における毛周期を超える期間で終毛の数が明らかに減少している状態が持続する事」が、医療機関で受ける脱毛の条件であるとして、同協会による定義も表現が変化してきてるようです。
脱毛の歴史
脱毛の歴史をひも解くと、なんと紀元前にまで遡ることができます。紀元前3000年頃の古代オリエント文明で、硫黄や石灰、でんぷんなどをペースト状にして脱毛薬品が使用されていました。それ以降、脱毛には基本的に薬品やカミソリなどが用いられる時代が続きますが、19世紀後半にようやく現在の医療脱毛の原型が登場し、以下のような変遷を辿りました。
- 【19世紀後半:電気分解法】
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1875年、アメリカの眼科医が逆さ睫毛の治療法として電気分解法という脱毛方法を発明。発毛組織に電流を流して組織液を電気分解し、その作用でできるアルカリ液が毛包組織を破壊することで再発毛しないという治療法。医療脱毛の原型といわれている。
- 【1924年以降:高周波脱毛法】
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1924年にフランスで考案された脱毛法。高周波電流の加熱作用によって発毛組織を機能させなくする方法。1940年代には真空管が使われ、短時間で処理できることから広く普及。
- 【1948年以降:ブレンド法】
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電気分解法と高周波法を組み合わせた脱毛方法が登場。毛穴にニードルを刺し、電流と高周波を同時に流して毛根を破壊する脱毛方法。いわゆる針脱毛と言われている永久脱毛法。
- 【1983年以降:レーザー脱毛法】
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ハーバード大学の研究チームが発見した脱毛法。黒い色素に反応するレーザーを短時間照射することで、周囲の細胞組織にダメージを与えずに脱毛できる効果に着目。1996年にはレーザー脱毛理論が発表され、レーザー脱毛器が登場。1999年にはFDA(米食品医薬品局)が「永久減毛」の効果を認めて機器の販売を許可。画期的な脱毛方法として普及し、現在では様々な種類のレーザー脱毛器が開発され使用されている。
本当にムダ毛は生えてこなくなる?
脱毛施術を受けてみようと考える人であれば、誰もが一度くらいは「ムダ毛が生えてこなくなるの?」と思ったことがあるのではないしょうか?効果を得やすい脱毛方法として、従来では針脱毛もしくは電気脱毛と呼ばれる脱毛方法が紹介されてきました。この方法によって、毛根・毛乳頭をしっかりと破壊することができれば、ムダ毛が再生する確率は著しく低くなるといえます。しかし、絶縁針を毛根に到達させる際の痛み(医療機関であれば麻酔も可能)と、大変時間がかかる点から、現在では医療レーザー脱毛や光脱毛が主流になっています。レーザーや光での脱毛の場合、光線の出力がポイントになります。使用する機器の出力が十分であれば、毛根・毛乳頭を破壊できる力は強くなるため、高い施術効果を期待することができます。